●無名戦士の神話

無名戦士の神話 The Unknown Soldier
マイケル・バー=ゾウハー Michael Bar-Zohar
ハヤカワ文庫
ヴェトナム戦争の戦死者で、いまだ身元が確定できない一人の兵士。その彼が無名戦士に認定され、ヴェトナム戦争の戦没者の象徴として、アーリントン国立墓地に祀られることになった。
そんな折り当の遺体を調査中だった国防総省の高官メレディスは、奇怪な事実に愕然としていた。遺体に残された弾丸と手榴弾の破片が、米軍のものだと判明したのだ。
彼は味方に殺されたのか?だとすれば、その理由は?
メレディスは独自に調査を進める。だが、手がかりとなる人物に黒い圧力がかかっていた…。
情感豊かに絶妙のプロットで描く名手屈指の傑作。
バー=ゾウハー渾身の一作と聞いて、かなり期待して読みました。
追っかけて行く謎自体はとても魅力的で、誰なんだろう、彼は。。。と引っ張って行ってくれます。
ただなー、主人公がなぁ。
息子をベトナムで失ったと言う設定ならば、若く見積もっても40台半ば、へたすると50歳突破のはず。
いまだ息子の生死は不明で、この無名戦士に息子を重ね合わせて執拗なまでに追いかけて行くのは理解できるんだけど、周りに迷惑を掛けすぎですよ、おっさんおっさん。
「先の大戦までは正義のための闘いだった。だが、それ以降はなんのための闘いなのか、それは正義なのか。」
と投げかけられる問いにバー=ゾウハーはどういう答えを出すのか。
彼自身がユダヤ人であり、イスラエル人であることがこの小説には強くにじみ出ているんじゃないかと思う。
ただ、日本人自分にはそれが「正義」であるかどうか、わからないけど。