●007/カジノ・ロワイヤル 【新版】

007/カジノ・ロワイヤル 【新版】
イアン・フレミング
井上一夫訳
創元推理文庫
英国が誇る秘密情報部。なかでもダブル零のコードをもつのは、どんな状況をも冷静に切り抜ける腕ききばかり。党の資金を使い込んだソ連の大物工作員が、カジノの勝負で一挙に穴埋めをはかるつもりらしい。それを阻止すべく、カジノ・ロワイヤルに送り込まれたジェームズ・ボンド。華麗なカジノを舞台に、息詰まる勝負の裏で、密かにめぐらされる陰謀。007ジェームズ・ボンド登場。
【新版】であって、新約じゃないのがミソです。
カジノ・ロワイヤルでの手に汗握る勝負の行く末は、「ジェームズ・ボンドが負けちゃったら話になんねぇべ」なんてこと言わずに楽しめます。
なんたって、ボンド初登場の作品ですから、まだ映画で観るようなスーパーマンなボンドではなく、人間味が少々ありまして、それがこの作品を読む価値を高めているかなと思います。
ボンドは、車が唯一の道楽で、女たらしというよりも、瞬間的にその女に惚れ込みつつもいつか別れることを常に想像してうんざりしているようなドン・ファンな男として設定されていて、これが映画になるとああなるのかぁとしみじみ思ったりして。
ボンド絶体絶命のピンチも、状況を映像で想像してみるとちょっと笑えたり、ユーモアがそこはかとなく散りばめられていて、ボンドをサポートするマチスなどはその役割をきっちりこなしています。
それにしても、本文中、「商人」というのが気になりました。「セールスマン」か「営業担当」とかにできないのかなぁ。いくらなんでも、商人が町から町へと移動しているっていうのはないでしょう。
久々の海外ミステリだったのですが、こういう古典?を読んでみるのも悪くないですよ。