●眼を開く

眼を開く
<私立探偵アルバート・サムスンシリーズ>
EYE OPENER
マイクル・Z・リューイン
Michael.Z.Lewin
ハヤカワ・ポケット・ミステリ1792
心やさしき私立探偵サムスン、営業再開! とうとう私立探偵免許が戻ってきた。長く辛かった失意の時代とはおさらばだ。また私立探偵アルバート・サムスンとしての日々が始まるーーー営業再開にあたって、家族や友人たちも祝福してくれた。ただひとり、幼なじみの親友ミラー警部をのぞいて。確かに免許を失ったいきさつから彼とは疎遠になっていたのだが・・・・・やがて復帰後初の大仕事が舞い込んだ。依頼は大手の弁護士事務所から。だがその仕事とは、ミラーの身辺調査だった! 彼の身にいったい何が起きているんだ? 心やさしき私立探偵アルバート・サムスン復活。待望のシリーズ最新作!
シリーズ第1作からずっと読み続け、待たされること10数年。ようやくアルバート・サムスンが帰ってきました。
もう戻ってこないと思っていた大切な友人と期せずして再会し、連絡先を交換して又会うことを約束し、楽しみだなと微笑みながら帰るようなそんな気分でこの本を買ったものです。
それから4年以上の月日が流れて、あぁ、元気でやっているかな、と思いながらページをめくって愕然。
前作の『豹が叫ぶ声』を読んでないよ、自分!!!!!!!
あまりに裏表紙をろくすっぽ読まずに背表紙買いをしたのです。あぁ、サムスンが帰ってきた、ただそのことだけで何も考えずにレジにまっすぐと向かい・・・・・。
だが、読み始めた以上は最期まで読まねばなりません。
それはなんか読み始めた段階でわかった大きな変化があまりにショックで、このまま読むのをやめたら気になって他の本なんて読めないっていうか、あの本(『そして赤ん坊が落ちる』)読めないよ!っていう感じだったのです。
買ったそばから読むタイプの人ならばこんな馬鹿げた事もないでしょうか、買った本を積み上げて、その時の気分で本を選ぶタイプの自分だからこんな目に遭うわけです。
皆さん、シリーズ物は極力買ったそばから読みましょう。
さて、管理人のおバカな話はこのくらいにして、本の話に。
サムスンは失意の中でもがき苦しみ、その結果、自分のことだけでイッパイイッパイになります。
支えてくれる母親、近くで見守ってくれている最愛の娘、母の友人たち、隣人たちがどんな状況にあるのか、何をしているのかが目には入ってきても見えてはなかった。
みえてなかった彼がその眼を見開いたときに見えてきたものは立ち上がり自分たちで行動することを恐れない人々の姿だったのです。
私立探偵として免許を奪われ仕事をすることができなかったサムスンが再び免許を手にしたときにようやく見えてきた自分たちが住む街の姿。そして、順調そうに見えてきた親友の大いなる危機。
お酒に頼ることもなく、拳銃も持たず、携帯電話さえ持たないサムスンが自分の足で歩いて(なにせ車がパンクすること、すること)人々の話を聞き、たどり着いた答え。
シリーズ第1作目の原題『Ask the Right Question』への原点回帰のような作品です。
自分の次にやることは部屋の何処かにあるはずの『豹の叫ぶ声』を見つけ出すことと手元にある『そして赤ん坊が落ちる』を読むこと。それが今やるべき正しきこと、のはず。