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ギリシア・ローマ世界における他者 第2章

september 05, 2004 | About Book

『オデュッセイア』におけるフェニキア人

 ギリシア・ローマを通じて常に『他者』であり続けたフェニキア人と彼らを見つめるギリシア人のまなざしを通じて『他者』との係わり合いを読み解く。

前章とはかなりテイストの異なる『平易』な文章による論考で、読みやすい。『オデュッセイア』を知っていることを前提として展開しいくが、取り上げられているのはフェニキア人が登場する場面のみなので、知らないと困る、といったことはない。

ここで語られる他者とは「文明や文化が異なる人々」であり、相容れないものを持つ彼らの生き方から何を学ぶのか、という捉え方ができなくもない。が、ここではそのようなテーマ性は薄く、あくまで「フェニキア人」と「オデュッセウス」の対比に終わっている。もったいない。

 この章で繰り返し述べられる「偽り」に対する報復の問題は、偽りとはすべてが悪しきものではなく、偽りの真因によりいかなる形にも変えられるものであり、その結果が報復で終わるわけではない、としている。が、フェニキア人は常に他者であり、彼らはギリシア的な倫理観とはかけ離れた彼ら独特の視点により行動をする「他者」として描かれるため、常に彼らの「偽り」には悪しきものが含まれ、その結果として報復を受ける、という見解が読み取れる。

 ここに「他者」を常に敵視するような現代にも通じる「偏見」の存在を感じる。これが現代に巣くうもっとも難しい問題のひとつになっている


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