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The Chill
janúar 12, 2005 | About Mystery
邦題『さむけ』(Ross MacDonald ロス・マクドナルド)
実直そうな青年アレックスは、茫然自失の状態だった。
新婚旅行の初日に新妻のドリーが失踪したというのだ。アーチャーは見るに見かねて調査を開始した。ほどなくドリーの居所はつかめたが、彼女は夫の元へ帰るつもりはないという。
数日後、アレックスをたずねたアーチャーが見たものは、裂けたブラウスを身にまとい、血まみれの両手を振りかざし狂乱するドリーの姿だった・・・・・ハードボイルドの新境地を開いた巨匠畢生の大作
学生時代に図書館で借りて読んだ時よりも、深い、そして重い、気持ちになります。
やはり、人間の欲望とは恐ろしい、怖ろしいです。
上流と呼ばれる階級にある人たちのなかにある『無分別』が引き起こすちょっとした足元の揺れを罪もない市井の人たちを激しく揺さぶり、逃げ場のない悲劇を彼らが襲うといった矛盾。
新妻の失踪に始まり、次々とアレックスを襲う理不尽な出来事。いったい彼にどのような罪があったと言うのか。。。。やりきれない気持ちになります。
語り手としてのリュー・アーチャーはこの作品で触媒としての存在でしかない、と同時に、その場に立会い、すべてを見届ける存在になっています。彼がその場に立ち会うことが『当事者たちにとっての懺悔』であるかのようにそこに佇み、すべてを受け入れるかのようです。
現在のアメリカのハードボイルドをはじめとしたミステリに大きな影響を及ぼしている作品であることは疑いようもなく、『ミステリとしての出来』を云々するよりももっと意味のある、いわゆる歴史的な作品ではないでしょうか?
2004/12/26読了